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夜逃げ

もう時効だろうから話せることだが･･･

これは「夜逃げ」というご依頼のお話。

夜逃げと言っても借金取りから逃げるというものではない。
そもそも、そう言う人は便利屋に払うお金もないので、最近の夜逃げは、
”旦那から逃げる”　”家族から逃げる”　”ストーカーから逃げる”といったものが主流である。
なので夜逃げではなく、普通に昼に逃げる”昼逃げ？"もある。
そういった意味では今回のご依頼は、夜逃げである。

　ご両親と同居の夫婦らしく、その両親が寝ている間に奥様だけそっと逃げるという内容。
（え～、旦那さんは？）と思いつつご依頼者様宅へ。
時間は午前０時。小さな工場兼自宅といった感じ。
1階が工場で2階、3階が住居部分のようだ。離れた場所からご依頼者様に連絡。しばらくすると、2階から女性が降りてきた。
どうやらご両親はとなりの一戸建てに住んでいるようで、既にご就寝のようだ。　ちょっつと安心。

　旦那さんはいらっしゃるようだが、家庭内離婚中で　「勝手にしろ」状態。なので、「主人いますが、気にせずやってください」との事。
ますます安心。後は隣りに住んでいるご両親にバレなければOK。
作業開始！
荷物は3階からの運び出しなので、チョット大変。しかも、外階段なので、幅も広い。
早速、3階に上がろうとしたら階段が鉄でできており、
”カンカン”うるさい💦　
これではとなりのご両親にバレてしまうかも知れない💦　
急遽、階段部分は靴を脱いで作業することに...

　夜逃げの場合、持ち出す荷物は生活に必要最小限のものだけなので、
そんなに大ごとな荷物は無い。
まさか500リッターの冷蔵庫を持っていく様な事は無い。
案の定この現場も、小物をまとめた段ボールや、小さなTV、パソコンなどで、一番大きな物はシングルベッドだけだ。
シングルベットを分解して、ベットマットもトラックに載せて
運び出し終了！　
早速、引っ越し（夜逃げ）先にGO！

　なんだかんだ言って、やはりご両親のことが心配らしく、引っ越し先は、車で１０分程の小さなアパート。
ご依頼者様をトラックに乗せる事は出来ないので、タクシーを拾って来てもらうことに。　
我々の方が先に到着し、ご依頼者様を待つことに。
しかし、いつまで経ってもご依頼者様が現れない。
仕方なく携帯に連絡すると、「すいません。タクシーが捕まらなて・・・」
仕方なくいる場所を聞いて迎えに行くことに。
指定された場所に向かうと、外灯の下に女性が・・・
失礼だが、一瞬、幽霊かと・・・

　どんな事情があってこうなったか、そんなことはこちらにしてみればどうでもいい事だし、我々はただ作業をミスなくスピーディーに行えば良いこと。
しかしどうにも後味の悪い仕事である。

2020/04/17

夜逃げと言っても、昔とはちょっと違う。