【物置の整理】思い出いっぱい
本日のお客様は、長年手をつけずにいたという物置の整理をご依頼くださった。ご自宅の裏手に佇むその物置は、見るからに歴史を感じさせる佇まい。
ご依頼主の奥様は、物置の中に何が埋もれているのか、少し不安げな表情を浮かべていた。
「もう、何年も開けてないから、一体何がでてくるか…」
奥様の言葉に、私も少しだけわくわく感を覚えつつ、作業の準備を始める。
ゴム手袋、マスク、そして分別用のゴミ袋を携え、物置の扉を開ける。
開けた瞬間、鼻を突くのは、古紙と埃の混ざり合った独特の匂い。
薄暗い室内には、無数の段ボール箱や古新聞、
そして埃をかぶった思い出の品々がぎっしりと詰め込まれていた。
まるでタイムカプセルを開けたような、不思議な感覚に包まれる。
「これは…、高校時代の卒業アルバムじゃないかしら?」
奥様が、埃まみれの段ボール箱の中から、黄ばんだアルバムを取り出した。
表紙には、若かりし日の奥様の笑顔が輝いている。
「懐かしいですね。この頃は、毎日が楽しかったなぁ」
アルバムをめくるたびに、奥様の表情は柔らかく変化していく。
物置の整理は、単なる作業ではなく、彼女にとってのタイムトラベルのようだった。
一方、私は、古新聞の山や使わなくなった家電製品を黙々と運び出す。
中には、もう二度と使うことのないであろう古いおもちゃや、
思い出の詰まった手紙なども見つかった。
「これは、息子が小さい頃に書いた手紙です。宝物なんです」
奥様は、丁寧に手紙を封筒に戻し、大切にバッグにしまった。
作業を進めるにつれて、物置の中は徐々にすっきりしていく。
埃まみれの床も、ほうきと雑巾でピカピカに磨き上げられた。
「あら、こんなに広かったのね!」
作業を終えた奥様は、すっかりと笑顔を取り戻していた。
物置の中は、以前とは比べ物にならないほど明るくなり、
気持ちの良い空間へと生まれ変わった。
「本当にありがとうございました。おかげで、気持ちもスッキリしました」
奥様の感謝の言葉に、私も達成感を覚えた。
今回の作業は、単に物を整理するだけでなく、お客様の心の整理にも繋がったのではないだろうか。
便利屋という仕事は、様々な人と出会い、様々な物語に触れることができる。
それは、私にとって、とても貴重な経験だ。
夕暮れの空の下、汗だくになった私は、今日の仕事を無事に終えたことに安堵し、次の仕事へと向かう。
2024/12/21
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